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マネックスグループ(8698)分析

マネックスグループ(8698)の分析です。国内ネット証券大手の一角であり、米国やアジアなどにも拠点を持ちます。約5年かけた基幹システムの内製化が完了し、次のステージとしてさらなるサービス向上に加え、ブロックチェーンや仮想通貨事業などへの参入を進めています。

1. 会社概要

銘柄コード: 8698
HP: https://www.monex.co.jp/
業種: 証券業
代表者名: 松本 大
設立年度: 2004年8月2日
時価総額: 1682億円
市場: 東証1部
従業員数(単独): 39人
従業員数(連結): 844人
特色: ネット証券大手の一角。香港、米国等にネット証券持つ。基幹系システムの内製化を順次拡大中

引用元:YAHOO! ファイナンス

2. 事業内容

マネックスグループは、日本、米国、アジア・パシフィックに12の事業拠点を有し、個人投資家にオンラインでグローバル金融商品を提供しています。

以下はグループの概要です。

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引用元:Integrated Report 2017

各地域における収益、費用、および従業員構成は以下のようになっています。
日本では「インベスター層」を主な顧客とし、株式やFXなどを主に扱っている一方、米国の主な顧客は「アクティブトレーダー層」であり、オプションや先物などの取扱が多くなっています。

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引用元:Integrated Report 2017

地域セグメントごとの連結営業収益の推移は以下のようになっています。
米国セグメントは、米国のTradeStationグループが2011年6月にグループ会社となったことを端緒としています。

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引用元:2018年3月期第3四半期決算 説明資料

また、仮想通貨事業への参入も進めており、2018年4月のコインチェック社買収発表は大きなニュースとなりました。

2.1 事業セグメント

まず、各セグメントの概況を確認します。

2.1.1 日本セグメント

日本セグメントは、1999年創業のマネックス証券が収益の柱となっています。
日本の株式市場における個人売買代金の約9割は主要オンライン証券5社を通じた取引であり、マネックス証券はそのうちの一社です。

最近では、かねてより進めてきた、新しい証券基幹システム「GALAXY」、および日本株取引ツール「トレードステーション」の2 つの大きなシステム開発が完了し、内製化された基幹システムを活用した商品・サービスの開発・改善力向上が期待されます。

また、AIを用いた投資支援サービスや、ロボアドバイザー、OCR(光学的文字認識)による口座変更処理の自動化などのサービスも提供しています。

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引用元:Integrated Report 2017

2.1.2 米国セグメント

米国セグメントは、米国のTradeStationグループが2011年6月にグループ会社となったことを端緒としています。

口座開設と預り資産は順調に延びており、安定黒字化しています。

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引用元:2018年3月期第3四半期決算 説明資料

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引用元:Integrated Report 2017

2.1.3 アジア・パシフィックセグメント

2016年11月にマネックス・オーストラリア証券を米国セグメントから中国セグメントに移行したことにより、セグメントの名称が「中国」セグメントから「アジア・パシフィック」セグメントに変更されています。

アジア・パシフィックセグメントは他のセグメントに比べるとまだ規模は小さいですが、オーストラリアでオンライン証券事業を開始するなど、今後の拡大が期待されます。

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引用元:Integrated Report 2017

2.2 仮想通貨事業

地域別のセグメントとは別に、近年注目を集めているのが仮想通貨事業への参入です。

最先端のIT技術と世界水準の金融知識を持ってイノベーションを起こすことを標榜しているマネックスグループですが、「第二の創業」としてブロックチェーンや仮想通貨交換業への参入を進めてきています。
独自のブロックチェーンの開発や、ブロックチェーンの活用による金融商品や金銭の取引を安全かつ低コストに実現することを目指しているようです。

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引用元:2018年3月期第3四半期決算 説明資料

2018年4月6日にはコインチェック社を36億円で買収するとの発表が話題になりました。
買収額が割安との評価などから株式の買いが膨らみ、株価も一時ストップ高を記録しました。

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引用元:YAHOO! ファイナンス

ただし、今回の買収では、コインチェックの2021年3月期までの3年間の純利益合計額に対して2分の1を上限に追加で取得費用を支払う取り決めである「アーンアウト条項」が定められているため、実際には追加で買収費用が発生するとされています。
アメリカでIT企業の業績の予想について互いの合意が難しい場合、買い手と売り手でこうした契約を結ぶケースがあるようです。

参考:マネックスのコインチェック買収 36億円で済むのか

4月26日にはコインチェック社の2018年3月期の業績が開示され、年間売上高は前期比約64倍のの626億円、営業利益は前期比約75倍となる537億円であることが判明しました。営業利益率は86%と異例の高さです。
1月に不正流出したNEM補償分を「特別損失」として473億円計上し、税引前利益は63億円となっています。
仮想通貨の販売所として、業者の仕入れ値と売値の差額である利ざやが往復で10%前後にも達することが高収益の理由と考えられていますが、今後の規制強化や競争激化によるスプレッドの縮小などで利益率が低下する可能性があります。

参考:仮想通貨売買、異次元の高収益 コインチェック前期業績

代表の松本氏は、今や金の5%を超える時価総額を有する仮想通貨を、存在感の大きい資産クラスとして見なしているようです。
仮想通貨を扱うバンクは今後益々重要になっていくと見ており、コインチェックの仮想通貨交換業のシステムやノウハウと、自社のオンライン証券のノウハウを統合することで、全く新しい総合金融機関を作ることができると述べています。
また、仮想通貨の顧客がオンライン証券に比べて若く、従来とは異なる層の顧客をグループに取り組めることも買収のシナジーとされています。
2ヶ月程度を目安に仮想通貨交換業への登録を目指しており、今後の展開が注目されます。

参考:なぜコインチェックを買収? マネックス社長「仮想通貨は重要な資産クラスになる」

3. 財務分析

3.1 業績

2017年3月期は、取引量の減少に加え、日本の基幹システム移行に伴う費用の増加により減益しましたが、システムの移行完了により、2018年3月期には回復しています。

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引用元:マネックスグループ 株価・業績推移・決算資料 | Stockclip

3.2 競合との比較

国内ネット証券大手5社(SBI証券、楽天証券、マネックス証券、松井証券、カブドットコム証券)の中では、SBI証券が圧倒的な一位となっています。
株式委託手数料のシェアも大きな変動はなく、総合口座数や預り資産残高でもSBI証券の一強体制が続いています。
マネックス証券は、信用取引の割合が他社に比べて低いため、今後は信用取引を行うアクティブトレーダー層を増やしてシェアを増大させるとしています。

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引用元:Integrated Report 2017

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引用元:国内ネット証券大手5社の口座数と預り資産残高、売買代金シェアなどの比較

米国では、DARTs(Daily Average Revenue Trades)のシェアは6%程度であるものの、1口座当たり委託手数料では最大手のInteractive Brokersを上回っており、今後は口座数を増やしてシェアを拡大していくとしています。

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引用元:Integrated Report 2017

3.3 株式の保有

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引用元:2017年3月期 統合報告書

4. 事業戦略

マネックスグループは中長期事業戦略「グローバル・ビジョン」として、収益拡大とコスト削減を目的に、グローバル化とシステム内製化に約5年間取り組んできており、2017年3月期にこれが完了しました。
今後は内製化した証券基幹システム「GALAXY」を最大限活用し、スピーディな商品開発やサービス改善を行っていく、新たなステージに移行したとしています。

具体的には、一つは、「GALAXY」の改善による預り資産拡大と、日本株取引ツール「トレードステーション」によりアクティブトレーダー層を獲得することで売買回転数を向上させることを目指しています。

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引用元:Integrated Report 2017

また、「第二の創業」として、ブロックチェーンの普及によるデータ管理革命を見据え、独自のブロックチェーンの開発や、ブロックチェーンの活用による金融商品や金銭の取引を安全かつ低コストに実現することを目指しています。

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引用元:2018年3月期第3四半期決算 説明資料

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