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アサヒグループHD(2502)の決算短信を受けて、業績予想の考察から最近のビール業界の高アルコール度数のトレンドをデータをみながら考察してみた

アサヒグループHD(2502)の決算発表がありました。売上高1,005,064百万円(前年比+7.2%)、営業利益87,909 百万円(前年比+30.2%)と大幅に成長しており、業績予想を上回る数値でした。一方で好調にもかかわらず純利益予想を据え置きしたこと、ビール事業が「安く手軽に酔いたい」というコスパ重視の消費者性向による市場の縮小に伴い前年比でマイナスとなっていることなどを嫌気した売りが入っています。アサヒグループHDは、海外事業が大幅に成長しており、かつ今回の決算内容(純利益予想を据え置きしたことも含む)は、決して悪いものではないため、今回の売りはあまり妥当なものではないと言えるでしょう。

ビール業界についての比較

まずはビール業界の企業を整理してみましょう。

ビール業界で有名どころは、以下の通りです。

売上高比較は以下の通りです。
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アサヒは前年度に対して大きく売上高を伸ばしていることがわかります。また業界のトップは昨年まではキリンでしたが、今年からはアサヒになりそうですね。(僕はキリンビールが好きです)

営業利益比較は以下の通り。

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また営業利益率比較は以下の通り。(*キリンとサントリーはQ2の決算はまだですのでご注意ください)

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営業利益率はアサヒビールは前年同期比に対してもアサヒは成長していることがわかりますね。一方のサッポロビールはマイナス成長です。
ビールならではですが、夏から秋にかけての暑い季節ががもっとも売上高が伸び、その分営業利益率も増加する傾向にあります。

アサヒグループホールディングスの決算内容

第2四半期予測が、
- 売上収益が998,000百万円に対して1,005,064百万円
- 営業利益が75,600百万円に対して87,909百万円
- 純利益が55,000百万円に対して60,378

と、大きくプラスであったため、 業績予想よりもポジティブな値になっています。

しかし、当期純利益予想を据え置きしたことによって、嫌気した売りが8月3日に入りました。(第2四半期純利益予想を上回ったにもかかわらず、通期純利益予想を据え置きしたということは向こう半年間の業績はむしろ悪いのでは?という考え方になります)

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一方で、こうした売りは保守的すぎるといった声もあります。
参考: <東証>アサヒが年初来安値 今期純利益予想の維持を嫌気、「保守的」の声も

ビールのような季節性がある事業においては、通期予測に対しての売上高の進捗率がどれだけであるのかということを考える必要があるでしょう。

そこでアサヒグループHDの2017年業績における四半期ごとの売上高、営業利益、純利益比を計算してみました。

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左から、売上高、営業利益、純利益です。1、2、3、4は各四半期を意味します。
これをみて見ると、基本的に第1期には売上高に対して営業利益を低く抑えて、夏などのビールがもっとも売れる時期の第2期四半期以降で営業利益を出しています。
そして、純利益はより後ろ倒しになる傾向があるようです。

さらに、第2四半期業績予想に対する進捗率は以下の通りです。

項目 2016年度 2017年度 * 2018(今)年度*
売上高進捗率 46% 48% 47%
営業利益進捗率 37% 43% 43%
純利益進捗率 35% 39% 42%

今年度から、第2四半期における予想が決算内容に盛り込まれたので、第2四半期の予想を上回っているにも関わらず、当期純利益予想を据え置きしたことによって、嫌気した売りが8月3日に入っていますが、 昨年と比べてもさほど大きな変化があるわけでもなく、上方修正をだすかどうかは企業の判断に委ねられているため、今までの業績がよかったからといって上方修正してこないことは通常運転であると考えられます。

よって、当期純利益予想を据え置きしたことに対する嫌気による売りは妥当なものとは言えず、またゴールドマンサックスなどの証券会社は目標株価を6300円にするなど強気な姿勢ですので、割安になっていると言えるでしょう

アサヒホールディングスの事業内容とアルコール度数の考察

事業別の業績は以下の通りです。

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引用元: アサヒグループホールディングス2018年12月期第2四半期決算短信

アサヒビールに関しては、国際が前年同期比33.5%成長と、大きく伸びています。
一方で、酒類事業はマイナス成長しております。
これは、近年の「安く手軽に酔いたい」というコスパ重視の消費者性向と、高アルコール度数戦略が関係してると考えられます。

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引用元: アサヒビールから高アルコールビール誕生

こうした傾向は、アサヒグループHDなどが想定しているよりも顕著であるとのことが決算説明資料からも伺えます。

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引用元: 決算説明資料

特に、店頭におけるビールの需要がへり、宅飲みなどコスパが良い飲み方にシフトしているようです。

宅飲みとかのワードでSNS分析とかしたら面白そうですね。てかビール会社各社は流石にやっているとは思いますが。

まとめ

ビール業界に投資する際は、酒類事業が縮小することを前提とした投資戦略が必要になり、酒類事業以外の伸びなどに注目する必要があると思います。アサヒグループHDは、海外事業が大幅に成長しており、かつ今回の決算内容(純利益予想を据え置きしたことも含む)は、決して悪いものではなく、今回の売りはあまり妥当なものではないでしょう。

参考文献

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