AI投資情報プラットフォーム

日本電産の独5社買収の意図と今後について調べて見た

日本電産がロボット部品や工作機械を手がける独5社を買収することを発表しました。これらは、単なる技術獲得や販売チャネルの獲得だけでなく、人工知能技術と合わさった時代背景に関わっています。製造業を強みにもつ日本が、「知能化されたロボット」の世界展開で勝ち上がることは一つの勝ち筋と言えるでしょう。

日本電産(6594)が産業ロボット部品を中心に独5社買収

日本電産は2018年度末までに、産業ロボット部品や工作機械などを手がけるドイツ企業5社を約500億円で買収する計画を発表しました。

今回分かっているMSグレスナーの情報は以下の通り

企業名 買収額(推定) 概要 強み 売上高
MSグレスナー 50億円 精密減速機の製造及び販売 関節を動かすのに欠かせない減速機 27億円

日本電産(正確には子会社の日本電産シンポ)が取り扱う入力軸と出力軸が同一方向である『同芯軸型』の精密減速機を得意としていたのに対して、今買収したMSグレスナーがもつ主力減速機は、回力軸に対し出力軸が直角方向にある『直交型』の精密減速機となっています。

結果として、 精密遊星減速機(同芯軸+直交)全種を有することとなり、全方向の操作がより柔軟に可能になると言えます。

**参考: そもそも減速機って?

減速機(げんそくき)とは歯車等で動力の回転速度を減じて出力する機械装置である。出力として、減速比(歯数比やプーリー比)に比例したトルクを得ることができる。
引用元: wikipedia

044d9e50085f61921cf25ed55dc266dd.jpeg
引用元: 変速機・減速機とは?その種類や構造

買収の意図

買収の意図としては、

  1. 遊星減速機の大市場である欧州においてMS-Graessner社の販売網を活用し保有減速機を販売できる
  2. 日本電産シンポにて開発しましたロボット用揺動減速機ⅲをGraessner社のドイツシュトゥットガルト工場にて製造し、同社ロボット産業顧客宛に販売・サービス対応する
  3. 日本電産シンポのアジア・アメリカでの営業・サービスネットワークを活用し、Graessner社製品を当該地域で一斉に販売
  4. 日本電産シンポのアジア生産拠点を活用することで、Graessner社のコスト改善に資することが出来る

ということが挙げられています。グローバル戦略における販売チャネルの獲得であるとも捉えられますが、それ以上に大きな意図があると思われます。

現在、深層強化学習という、AI(Deep Learning)技術が話題ですが、これらはロボットの自動制御に大きく貢献する技術であると期待されています。

例えば以下のロボット操作のようなことができるようになっています。

上記の動画では、ロボットが物体を自動で認識して、自らうまくつかむことを学習しています。

こうした技術において、もちろんDeep Learningをはじめとしたソフトウェアの技術も非常に高度で重要である一方、ロボットのアームなど、ハードの性能が非常に重要になってきます。

こうした知能化した産業ロボットの販売に向けた投資であると考えることができるでしょう。

今後の展開

上述したように、深層強化学習は大きなブレイクスルーです。

  • 日本は製造が非常に強いこと
  • 深層強化学習によって、今後知能化したロボットが市場に出回ること
  • そうした未来に向けて、ハード技術は非常に大きな差別化になり、かつデータが蓄積すればDeep Learningの学習にも使えるため、先行者優位を取ることができること

なども考えると、かなり大きな意味と可能性を持っています。

現在時価総額は4兆7344億円で、売上高なども4000億円ほどですが今後大きく伸びていくことが期待されます。

参考

関連記事

こちらの記事もおすすめ

Medium %e3%82%b9%e3%82%af%e3%83%aa%e3%83%bc%e3%83%b3%e3%82%b7%e3%83%a7%e3%83%83%e3%83%88 2018 08 22 15.39.28

【メタップス(6172)】海外の売上比率が6割超え!ファイナンス事業が好調のメタップスの事業

メタップス(6172)の分析を行いました。代表取締役の佐藤さんは、「お金2.0」の著者としても有名であり、ブロックチェーン技術やトークンエコノミーにおいて第一線をいく人であります。実際にタイムバンクなど革新的な概念のサービスを展開しており、

Medium %e3%82%b9%e3%82%af%e3%83%aa%e3%83%bc%e3%83%b3%e3%82%b7%e3%83%a7%e3%83%83%e3%83%88 2018 08 14 17.37.55

【セレス(3696)】Coin Checkの売却益などで営業利益は前年同期比+244%!セレスの決算まとめ

セレスはモバイルポイントサービスの提供を行なっている企業です。2018年2Q決算がコインチェックの売却益などで大幅増益をとげており、その内容をまとめてみました。仮想通貨事業への投資も積極的に行なっており、これまでの事業とのシナジーから今後も

Medium %e3%82%b9%e3%82%af%e3%83%aa%e3%83%bc%e3%83%b3%e3%82%b7%e3%83%a7%e3%83%83%e3%83%88 2018 08 10 11.52.49

【インフォテリア(3853)】買収コストで減益も、当期利益は通期計画の60%の進捗!インフォテリアの事業戦略

インフォテリア(3853)の分析です。データ連携用ソフトウェア「ASTERIA」などを中心に企業向けのミドルウェアを提供しています。2015年からテックビューロと事業提携をしており、ブロックチェーン技術の実証実験やコンサルティングサービスを

Medium %e3%82%b9%e3%82%af%e3%83%aa%e3%83%bc%e3%83%b3%e3%82%b7%e3%83%a7%e3%83%83%e3%83%88 2018 08 07 15.20.26

【楽天(4755)】下落がつづく株価、楽天の2018年度2Q決算でしめされた逆転の可能性とは

楽天が8月6日に発表した、2018年度第2四半期の決算内容をすこし分析してみました。 下落が続いていた株価をたてなおすには、携帯事業の先行き、投資・金融事業の継続成長、EC(物流・決済)での新たな打ち手が鍵になりそうです。

Medium charlie hang 3009 unsplash

【三菱商事】最終利益が前年同期比+73.5%!三菱商事の強みとは

三菱商事(8058)の分析を行いました。5大商社の一つと知られる三菱商事は、エネルギー、金属、地球環境・インフラ、新産業金融、機械、化学品、生活産業など私たちの生活の基盤となるような大きなビジネスを行なっています。それゆえに、海外との取引も